広瀬秀雄文庫
目録リスト
広瀬文庫について
「広瀬文庫」は、元東京天文台台長(在任期間 昭和38年4月1日〜昭和43年11月9日)であった広瀬秀雄先生(1909-1981)の旧蔵書・資料である。
出身は兵庫県姫路市、東京帝国大学に入学、昭和7年(1933)、天文学科を卒業した。専攻は天体力学。1951年、東京大学教授、1963年に東京天文台長になる。博学多才の人で、天体軌道論、恒星のエンペイ観測による鉛直線偏差の研究、礼文島日食食帯の正しい予測、人工衛星を利用した測地学的研究、シュミットカメラの研究、日本暦学史の研究など、多方面に大きな業績を残した。日本暦学史の研究では、関孝和が改暦に意欲を燃やしたらしいこと、及び伊能忠敬による実測日本全図は経度方向に系統的な歪がある点を指摘したことで知られている。
「広瀬文庫」は目録を見ていただければ分かるように、何らかの意味で天文に関係した広範囲な漢籍、江戸時代及び明治以降の和書、洋書、資料、写真、スクラップブックなどを含んでいる。中でも、週末ごとに自転車で各地を回って調べた多摩地方の庚申塔(これも天文に関係している)の調査ノートと写真は、その膨大な量の点だけからも、他に類を見ない貴重な資料集ではないかと思う。[中村士]