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貴重資料展示室

第03回常設展示:1992年6月26日〜1992年12月4日
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長暦

長暦とはさかのぼって過去の暦日を復元したもので、貞享の改暦を行なった渋川春海(しぶかわはるみ) (1639-1715) の『日本長暦』がその代表的なものである。

『日本長暦』は『日本書紀』の神武東征甲寅の年 (神武紀元の7年前) から貞享二年までの約2300年間の毎月の朔日の干支を計算したものである。計算には各時代それぞれの暦法を用いたが、春海は最初に輸入された元嘉暦以前にも独自の暦法があったと唱え、書紀の干支につじつまを合わせた暦法を創作している。春海が『日本長暦』を作る過程で著された『日本書紀暦考』と『古今交蝕考』は『日本長暦』と一体をなすものである。

江戸中期の暦学者中根元圭(げんけい) (1662-1733) の著した『皇和通暦(こうわつうれき)』正徳四年(1714)は、『日本長暦』の値を使い、幾らかの改変を試み、附録に古暦の数表や解説をつけた長暦である。この『皇和通暦』をもとに、内務省地理局は『三正綜覧(さんせいそうらん)』明治13年(1880)を編纂発行したが、内容は『日本長暦』に史実によるわずかの修正を加えただけのものであった。

現在の長暦としては、内田正男の『日本暦日原典』(1975) が出版されている。計算は計算機により、また実際に施行されたかどうかの史実の調査は桃裕行 (1910-1986) の研究成果を踏まえていて、現在最も信頼出来る長暦である。

日本長暦』 渋川春海著 写本3冊

日本長暦1 日本長暦2

日本書紀暦考』 渋川春海著 写本1冊

日本書紀暦考1 日本書紀暦考2
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