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貴重資料展示室

幕末の西洋一般書に見える天文(2005年10月15日〜)

鎖国制度が続いた江戸時代、洋書の輸入は禁止されていたが、江戸後期、天文に興味を持ち、改暦を考えていた八代将軍徳川吉宗(1684〜1751)によって、洋書の輸入禁止をゆるめる命令が出された(禁書令の緩和:享保5年-1720)。西洋天文暦書の輸入の解禁に始まり、洋書の輸入は徐々に広げられた。百科事典の一部翻訳や、翻訳された本をもとに日本的解釈を加えた本も書かれた。それらの本では西洋への興味の一端が示されている。

紅毛雑話・顕微鏡の図
「紅毛雑話」より顕微鏡の図

『紅毛雑話』(こうもうざつわ) 刊本5巻5冊 森島中良(もりしまちゅうりょう)著 天明七年(1787)

長崎より江戸に表敬訪問に来た和蘭商館長(おらんだしょうかんちょう)から聞いた話を書き留めたものや、蘭学者たちから聞いた話などをまとめたもの。西洋の珍しい話が書かれている。また、図が豊富に描かれており、顕微鏡(むしめがね)で覗いた穀粒などのスケッチもある。火星はギリシャ神話では軍神(マルス)として表されるが、ここでは、武士の守り本尊である摩利支天・iまりしてん)として、紹介されている。

*森島中良(1754〜1810)は 幕府蘭方医の家柄である桂川家の次男に生まれ、桂川家の旧姓森島を名乗った。彼も蘭方医として、兄桂川甫周(かつらがわほしゅう)を助けながら、多くの著作を書いた。

紅毛雑話・表紙 紅毛雑話・本文 紅毛雑話・本文

『気海観覧広義(きかいかんらんこうぎ)』 刊本15巻15冊 川本幸民(かわもとこうみん)訳 嘉永四年(1851)〜安政五年 (1858)

「気海観覧」(きかいかんらん)を補う形で、他の蘭書からも訳した物理学的記述を加えた本。巻の四に天文と潮汐関係の事項が書かれている。明治まで長く読み継がれた本だという。

*川本幸民(1810〜1871)は幕末の蘭学者、蘭方医、物理学者。安政三年(1856)幕府の蕃書調所(ばんしょしらべしょ)教授手伝いとなり、翻訳作業に携わった。

気海観覧広義・表紙 気海観覧広義・本文 気海観覧広義・巻初 気海観覧広義・本文(図) 気海観覧広義・本文(図)

『西洋雑記』刊本4巻4冊 山村昌永(やまむらまさなが)訳編 嘉永元年(1848)

山村昌永が大槻玄沢(おおつぎげんたく)に蘭学を学びながらつけたノートから、西洋の歴史に関するおもしろい話をまとめた書物。この中に、西洋の暦や、天文の話が書かれている。この本は山村昌永が亡くなった後に刊行された。

*山村昌永(才助)(1770〜1807)は江戸後期、世界地理学にもっとも詳しかった蘭学者。著書に、総合的世界地理書ともいえる「訂正増訳采覧異言」(ていせいぞうやくさいらんいげん)(国立公文書館蔵)がある。

西洋雑記・表紙 西洋雑記・本文 西洋雑記・本文

『気海観覧 (きかいかんらん)』刊本1冊 青地林宗(あおちりんそう)訳編

物理学(究理学と称していた)の書で、ヨハネス・ボイス(オランダの科学者)の本から青地林宗(あおちりんそう)が訳して編集した。

気海観覧・表紙 気海観覧・本文

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