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貴重資料展示室

西洋天文学の導入(2002年10月26日〜)

長く鎖国を続けてきた江戸時代、西洋天文学は中国経由の書物により伝えられていた。江戸時代後期になり、一部の学問書は直接西洋から長崎にはいり、手にすることができるようになった。暦書を編纂する幕府天文方では、渋川景佑を中心にラランデ暦書の翻訳が行われ、「新巧暦書」(天保7年)として纏められた。また、他の天文方、山路諧孝によって、オランダ人ペイポの天文書が翻訳され、「西暦新編」として発表され(天保8年)、それまで使われていた「寛政暦」の数値や観測の比較に使われた。こうして「新巧暦書」を中心に西洋暦法を取り入れた天保暦法が作られた。

 惑星に関する、興味深い本が天文台に所蔵されていた。市野茂喬著「惑星儀図解」は蘭書(オランダの本)から写したと思われる惑星の図などが描かれており、あまり知られていない本である。

天球儀の図「惑星儀図解」天球儀の図「惑星儀図解」

「惑星儀図解」 写本1冊 市野 茂喬(いちのしげたか)著 天保3年(1832)

オランダの天文書から、惑星に関する事柄を集めた著。市野茂喬の印章あり。市野茂喬は生没年未詳で、優れた和算家であり、天文方高橋至時のもとで、寛政暦の改暦に関わり、伊能忠敬の全国測量にも参加したことがある。彼の著作として「惑星儀図解」が残されている。この本は、オランダ語の本などから、天球儀の図、日食の図、惑星の図等が残されている。

天保3年4月5日の水星日面通過の間重新の観測記録、浦野元周の序文などから、天保3年に書かれたものと考えられる。

惑星儀図解・表紙および序文 惑星儀図解・本文 惑星儀図解・本文

「西暦聞見録」 稿本1冊 渋川景佑(しぶかわかげすけ)著

渋川景佑が西洋書を学んだときのメモを書き記したノート。西洋人の名前を漢語で著している部分。蘭語から天球、地球他が訳されている部分などがある。

西暦聞見録・表紙 西暦聞見録・本文

「西暦新編」 写10巻10冊 山路諧孝(やまじゆきたか)著 天保8年(1837)

西暦新編

オランダ、ペイポ・ステーンストラ著書「Grondbeginsels der Sterrekunde」2冊(1771-1772)を訳して編集したものである。

「新巧暦書」 写本15巻15冊 渋川景佑著 天保7年(1836)

新巧暦書

オランダ、ラランデ暦書(「Astronomia of Sterrekunde」5冊)から翻訳し、それをもとに編纂した暦書。

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