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貴重資料展示室

第12回常設展示:1995年3月9日〜1995年7月18日
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暦(1) 具注暦と仮名暦

暦は漢字で書かれた「具注暦(ぐちゅうれき)」と仮名文字で書かれた「仮名暦(かなごよみ)」に大別できる。前者は具に暦注を付していることに由来するが、後者にも暦注は記されているため、文字の違いに重点を置いて真名暦(まなごよみ)とも呼ばれる。具注暦で行間が空いているものは間明き暦(まあきごよみ)と呼ばれ、日記やメモに使われた。とくに藤原道長の『御堂関白記』は国宝・ユネスコ記憶遺産にも登録されている (国立国会図書館 [外部サイト]文部科学省 [外部サイト])。

陰陽寮によって作られた暦は十一月一日に天皇に献上され、それから諸官庁に配られた。貴族達はそれを書写して用いた。やがて仮名文字が発明されると仮名暦が作られるようになり、鎌倉時代ごろには木版刷りの仮名暦が作られるようになった。普通、仮名暦はひらがなであるが、カタカナ暦も少数残存している。

現存する最古の具注暦は正倉院の天平十八年(746)の暦断簡とされてきたが、近年、更に古い木簡の具注暦の断簡が出土している。仮名暦の古いものとしては宮内庁所蔵の嘉禄二年(1226)の書写暦が知られている。栃木県真岡市荘厳寺には仮名暦の3年連続の暦が残されており、そのうちの康永四年(1345)の版暦は完全な形の暦として残存しており、今のところ最も古い。

国立天文台所蔵の具注暦は断簡で、裏打ちを透かして10日分が見える。仮名暦は筆写暦で巻子。年代的には新しい。

『正中三年(1326、推定)具注暦』 書写暦

具注暦

『万延二年(1861)仮名暦』 ひらがな暦

仮名暦

慶長十六年(1611)仮名暦』 カタカナ暦

カタカナ暦
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